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バンパネラ(吸血鬼)として永遠の時を生きることになった少年・エドガーを中心に、様々な時代・視点で描かれたオムニバス連作。1970年代に短編・中編あわせて15エピソードが発表された。2016年には40年以上の時を経て新シリーズ「春の夢」の連載が開始され、多くのファンを驚かせた。萩尾が生涯をかけて取り組んでいる、作家の物語世界を象徴する作品といえる。
冬の終わりの朝、トーマ・ヴェルナーが陸橋から落ちて死んだ。トーマは、慕っていた上級生のユーリ宛てに手紙を遺していた。そんななか、トーマに生き写しの転校生エーリクが現れ、ユーリの心は揺さぶられる。ドイツのギムナジウム(寄宿学校)を舞台に繊細で多感な少年たちが織り成す「愛」についての物語。
宇宙大学の最終試験は、漂流している宇宙船で10人の受験生が力を合わせて53日間生き延びることだった。しかし、受験生が宇宙船に集まると、そこには1人多い11人が集っていた。11人目は何者か、その目的は? それぞれの事情を抱えた受験生たちが挑む、波乱の最終試験の幕が上がる。萩尾SFの白眉。
ドイツのギムナジウム(寄宿学校)が舞台の物語。ある日問題を起こして転校してきたエーリク・ニーリッツは、自分によく似たトーマ・シューベルと出会う。初対面からトーマは様子が変だった。トーマはエーリクが15歳で死んだ自分の兄に瓜二つだと言うのだが……。のちに発表された「トーマの心臓」と重なるキャラクターが登場するが、実は未発表のまま萩尾は「トーマの心臓」を描いていた。この作品は、「トーマの心臓」のスピンオフとして先に発表された。
地球に住む15歳の少女星(セイ)は、超能力を持つ、白い髪、赤い目の火星人であることを隠して生きていた。火星への望郷の念が日に日に強まるなか、ある日エルグという青年が星に近づき、自分も火星人だと告げる。そこから星の火星へむかう旅が始まるのだった。地球と火星、そして時空を超えた壮大なSFファンタジー。
嵐の日にヨットで鎌倉の海に出た十里たち4人は、荒れる海で遭難し、海上に火の玉を見る。そしてアベルだけが戻ってこなかった。半月後、沖縄にアベルそっくりの少年が歌手のマリサの前に現れた。少年は記憶を失っていたが、ピアノで見事な音楽を奏で、二人は一緒に暮らし始めるが……。海と音楽が美しく描かれたSFファンタジー。
すべての人はみな“唯一の母”ホウリ・マザの“息子”という社会構造を持つ男だけの世界、地球(マージナル)。しかしマザは暗殺され、人々は新たなマザの登場を待ちわびる。一方、砂漠に突如現れた記憶のない少年キラは、マザを暗殺したグリンジャに拾われ、岩屋に住むアシジンと出会う。キラは彼らと交わり世界で唯一の受胎した存在となる。キラが新たなマザなのか? 2999年の地球を舞台にしたSF作品。
人の夢から情報を得る特殊能力を持つ渡会時夫は、7年間眠り続ける少女、十条青羽の夢に潜る仕事を依頼される。青羽は夢の中の「バルバラ」という島で幸せに暮らしていたが、そのバルバラは時夫の息子キリヤの空想から生まれたものだった……。夢と現実を往還しながら紡がれるSF作品。
宗教対立の激化した16世紀フランス。フランス王アンリ2世とカトリーヌ・ド・メディシスの娘として生まれたマルゴは、権謀術数の宮廷政治に翻弄されながら成長する。美貌の王妃として名高いマルゴの生涯を、マルゴをめぐる3人の「アンリ」との愛憎劇として描いた歴史長編漫画。
パリに住む画家のミロンの家に、ひょんなことから金髪に銀色が一筋入った中性的な美青年“メッシュ”が転がり込んでくる。自分を取り囲む複雑な家庭環境や陰謀に翻弄されるメッシュだったが、ミロンとの生活のなかで徐々に自己と向き合っていく。80年代を代表する萩尾のビルドゥングスロマンの傑作。
バレエが好きな高校生のみどりは、義兄の薫に恋している。夏休みに薫のいるロンドンのバレエスクールのサマーキャンプに参加し、ホームステイや日本とは違うバレエの環境で戸惑いつつも成長してゆく。そして、新作公演の大役に抜擢されるのだが……。バレエを通して、親、兄弟、友人たちの複雑な人間関係とそれぞれの愛の形が絡みあう物語。
15歳の少年ジェルミは母サンドラの再婚相手で義父のグレッグに性的虐待を受ける地獄のような日々を送っていた。誰にも言えない苦しみのなか、ついにグレッグを殺そうと決意するが、事態は思いがけない方向へ転回していく。家族の愛と支配、トラウマからの再生を重層的に描いた萩尾望都の長編心理ドラマ。
一卵性の結合双生児の姉妹ユーシーとユージーは、腰がくっついているため離れられない。妹のユーシーは美しいが頭が弱く、姉のユージーは頭が良いが醜い姿をしていた。いつも妹と比較されて面白くないユージー。成長とともに二人分の生命維持を担っていたユージーの体に限界が訪れ、分離手術の話が持ち上がる。
緑色の謎の生き物・モトちゃんと、人間の少年・ジョニーウォーカーくんらの少し不思議な日常生活を描いたかわいいギャグコメディ。基本的には12コマのコマ漫画だが、時折数ページの短編もある。「ポーの一族」の主人公エドガーに似た「エロガー・ポーチネロ」がゲスト出演するパロディエピソードも描かれている。